こんな風にひどく蒸し暑い話

一人飯のおかずになるブログ「こんな風にひどく蒸し暑い話」を毎日更新。2週間で10万PVを突破したかった。「ミスチルを聴けば大体の病は治る」「どうせ死ぬならとち狂え」が持論。友達が少ない。ドM界の貴公子というドブみたいな自己PRで人材系会社に営業として就職後、転職サイトの運営会社へ。全日本ノーフレンド協会理事長。

週刊文春がスクープを連発できる理由 【ブックレビュー】文春砲 スクープはいかにして生まれるのか?

こんにちは。

今日の一冊はこちらです。

 

◆「文春砲 スクープはいかにして生まれるのか?」―週刊文春編集部 (角川新書)

そうです、新谷編集長率いる週刊文春です。昨年は「文春の年」と言っても過言ではなかったですね。

背景や経緯は省略しますが、ある上司から貸して頂きました。笑

一言で感想を述べると、「文春が圧倒的な信頼と実績を残す理由がよくわかる一冊」であり、現場の息遣いさえも聞こえてくるような緊張感・臨場感が凝縮された一冊で面白かったです。

 

◆推奨ターゲット

・「週刊文春」が嫌いな人⇒たぶん、もっと嫌いになると思いますが。笑

・仕事に対する取り組み方が雑だと感じる人。⇒勉強になります。

 

◆1分要約

・2016年、4度の完売を記録し、世間に斬新な話題提供と問題提起をし続けた週刊文春

・そのトップ・新谷編集長による過去の振り返りと、休養を経て辿り着いた「文春論」。

・スクープは4種類。①やる意義があり売れるスクープ②やる意義はなくても売れるスクープ③やる意義はあっても売れないスクープ④やる意義がなく売れないスクープ。

・①が理想だが、②と③の狭間でいつも迷う。

・スクープが取れる唯一の理由は「狙っているから」。

・世間からの悪評も理解しているが、裁きではなくエンターテインメントを目指している。

・入手した情報が事実であれば何を報じても良いと考えているわけではない。

・そのニュースの事実がどんな意味を持つのかを常に考え、判断している。

  

1分要約ではざっくりとまとめましたが、実際は1本のドキュメンタリー映画を見ているような感覚になるくらい、具体的でスピード感と緊張感のある描写が多々含まれていました。

特にベッキーさんのゲス不倫や甘利大臣、元少年Aの取材から記事掲載までの流れは、デスクや現場記者それぞれの視点からも時系列ごとに描写されており、「ここまでやっていたのか…」と誰もが感服すると思います。

例えば元少年Aの記事は、2015年6月の「絶歌」発売から取材を始めて作られたのだそうです。(最終的な所在の特定には約6ヶ月、そしてそこから記事にするまで約3ヶ月)

周囲を警戒する元少年Aに対して、防刃服や手袋等を着用して取材に臨む記者たち。勿論、張り込みは数日間にも及ぶため、付近の住民に怪しまれないように作業着を着て、ワゴン車を使った電波調査を装いながら実施したのだとか。

結果としては、直撃時に逆上した本人にスーパーの駐車場までずっと追いかけられ、何とか車に乗り込み、息を切らしながら編集部に戻ってきたという記者。

「絶歌」の出版が投げかけた少年法はこのままでいいのか、という問いかけの答えを探して記者たちは更に取材を進め、事件の被害者・遺族・専門家にも話を聞いた上で9ページにも及ぶ特集記事が出たのは、取材スタートから250日が経過したタイミングだったそうです。

うーん…正直被害者や遺族に話を聞くのは(感情的に)どうだろう…とは思いましたが、その徹底ぶりは随一ですよね。というか、徹底し過ぎていてちょっと引きました。(笑)

 そもそも何でこんなにスクープを連発できるのか?という問いですが、まず文春編集部では、毎週38人の特集班所属記者から、合計200本近いネタが出るのだそうです。

そして、そのネタを各班の会議で厳選し、さらに各班のリーダーであるデスクと編集長による会議が開かれることで更にネタが厳選されて次号のラインナップが決まるのだとか… 

加えて、従来から大事にされている「右トップ」「左トップ」という枠組みや、新谷体制になってから一層強化された「文春フィルター」に通され、記事を世に出すことの社会的意義という最も難しい点をクリアしたものが初めて世に出る。その裏にあるリアルな苦労が垣間見える一冊でした。

僕にはできない仕事です。笑

 

◆共感点

第4章 メディアの可能性-未来への挑戦 (p222) より

記者それぞれがネット上にコラムページなどをもち、それぞれに愛読者がついて、そこで情報交換も活発に行う。そういう有機的なつながり、展開ができるようになっていけば、どんどん強いメディアとして進化できるはずです。そうなれば編集部は、記者やデスクのマネジメントも役割のひとつになるかもしれません。そういう発想はこれまでの雑誌メディアにはなかったことですが、昔の常識にとらわれている場合ではないのです。

コルクの佐渡島さんも言っていましたが、これからはただ物を売るのではなく、どのように「コミュニティ」を作るかが大切みたいですね。

例えば漫画の場合、売れる漫画を作る…ことも大事ですが、「作品を作品以外のところでどのように楽しんでもらうか」という視点も必要だったり。

プロブロガーや編集者の方がよくオンラインサロンを作っていますが、あれもまさにこれですよね。

賛否両論の週刊文春ですが、確実に今後のメディアの在り方を変えるかもしれません。